近赤外線3色同時サーベイ用カメラSIRIUS



SIRIUS(シリウス)とは


 人間の目で感じることのできる光の波長は0.4ミクロンから0.8ミクロンの間で、それらは可視光とよばれる。それよりも少し長い波長、1ミクロンから5ミクロンの波長の光を近赤外線とよぶ。近赤外線カメラSIRIUS(シリウス)は近赤外線の波長1.25ミクロン、1.65ミクロン、2.15ミクロンの画像を同時にとることのできる観測装置だ。可視光でいうと、青、緑、赤の画像が同時撮影できるカラーカメラのようなもの。SIRIUSの中には1024×1024素子(約100万画素)の近赤外線アレイ検出器(CCDのようなもの)が3個搭載されている。望遠鏡からやってきた光を3つの波長の光に分けてそれぞれひとつづつの検出器の上に焦点を結ばせることで「3色同時撮影」を可能にしている。SIRIUSという名前は「宇宙の広い領域を観測するための近赤外線3色同時カメラ」という意味の英語の頭文字(Simultaneous-3color InfraRed Imager for Unbiased Survey)からきている。

 天体からの光の色は多くの情報を含んでおり、色の情報は天体の分類や宇宙空間の塵の量の測定などに使われる。SIRIUSは3つの波長を同時に観測することにより、高い精度で色を決定することができる。さらに、広い範囲を高い分解能でサーベイ観測することができるので、特異な天体の検出や発見に威力を発揮しており数々の成果を上げ続けている。

 名古屋大学・国立天文台・名古屋市立大学の大学院生・研究員・スタッフが中心となってこの観測装置の設計・開発・製作が行われた。2000年夏に完成し、ハワイ・マウナケア天文台での観測を経験したのちに、南アフリカ・サザーランド観測所の名古屋大学1.4m望遠鏡に取り付けられ、南半球の空の観測を続けてきている。

さらに詳しい内容はSIRIUSのホームページへ